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【悲報】Qualatexブランド製造終了決定。日本のバルーンアートにどう影響する?

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【悲報】Qualatexブランド製造終了決定。日本のバルーンアートにどう影響する?

【悲報】Qualatexブランド製造終了決定。日本のバルーンアートにどう影響する?

2024/07/17

皆様こんにちは。風船使いたけむぅ〜です。最近、Qualatex(クオラテックス)の販売・製造元であるPioneer balloon company(パイオニアバルーンカンパニー)が2023年9月に破産し、Chapter11(日本でいう事業再生)を申請した件について取り上げて来ておりましたが、ついに公式発表がありましたので紹介します。

<過去記事>

Qualatex破産→事業再生はうまくいくのか?

https://fluffylab.co.jp/blog/detail/20240627205419/

Qualatexの供給に影響?パイオニア・バルーン・カナダのNOI提出

https://fluffylab.co.jp/blog/detail/20240710151526/

目次

    まずは結論:Qualatexブランドの製造終了

    7/17午前4時ごろ、Qualatexの公式SNS(facebook、Instagramなど)に、「Pioneer balloon Business update」というタイトルで投稿がありました。そこには、①パイオニアバルーンカンパニーはホワイトオーク社に買収され、パイオニアーブルーバルーンLLCを設立した。②新しい会社では、ラテックスおよびホイルバルーンに関する事業は再開されず、Qualatexブランドは製造終了のため、販売代理点から在庫の確保をしてください。③バブルバルーンが再開されるかは不明ですが今の所は販売代理店に在庫があるはず。という内容の記載がありました。つまり、Qualatexは今、100年以上続いた歴史の幕を閉じることになったということです。これまで、私はこの危機についてブログで何度か取り上げました。破産宣告をした直後にも、私は周囲にその危機について話題にしました。そして、それを見たり聞いたりした多くの人が「Qualatexがなくなるわけない」と感じていたと思います。この記事を見てもまだ、夢だと思っている人がいるかもしれません。しかし、これは真実です。

    世界各国からQualatexを惜しむ声が

    Qualatexは世界ナンバーワンのシェアを誇る老舗の風船メーカーでした。その歴史は106年に及びます。バルーンアートを世界中に広げたのはQualatexであるといって過言はありません。高品質で丈夫なラテックスバルーンを生み出し、CBAという公認資格(通称:世界公認バルーンアーティスト )を発行し、制作とビジネスに関するノウハウを世界中に広めました。それは、私たちバルーンアーティストにとって、どんな歴史的な偉人よりも最高に偉大な功績と言わざるを得ません。

    こうしたニュースは、私たちバルーンアーティストを除く多くの人々にとって些細なニュースかもしれません。しかし、私たちにとってはそうではありません。もしも、Qualatexがなければ私たちはバルーンアートに出会うこともなければ、私はこの仕事をしていませんでした。そうしたメーカーが倒産するというニュースは、世界中の古いバルーンアーティストに強い衝撃と深い悲しみを与えているはずです。

    その証拠に、SNSにはQualatexを惜しむ多くのコメントが記されています。私自身も、Qualatexを愛用していた世界中のアーティストの中の一人として、今回の出来事を本当に深く悲しんでいます。

    X(旧Twitter)でも各国からQualatexが製造終了することについて悲しみの声が飛び交っています。

    Qualatex生産終了に伴う今後の問題について

    私たちにとって、Qualatexブランドの生産終了は感情的な悲しみだけでは終わりません。Qualatexにしかないバルーンが多く存在するからです。それを失うことは、私たちのビジネスに大きな影響を与えます。その影響についていくつか取り上げていきたいと思います。

    646サイズの消失

    ツイストバルーンには、一般的な260サイズに加え、160、350(360)、646などのサイズが存在します。これは、例えば260であれば、2が風船の太さ、60が長さを示します。この数字は”インチ”で表されています。つまり、260サイズと表記されたものは、約5cmの太さで150cm程度の長さの風船であることを示しています。私たちはこのいくつかのサイズを組み合わせることによって、さまざまな形や大きさを表現しています。そして、その中の646サイズは、国内ではQualatexしか存在しません。Sempertexから生産されている同じ太さのロングリンコルーンは、色数が非常に少なく、特に薄橙(肌色)がないことが非常に問題です。例えば、上記写真のような作品は制作することができません。ディストーションなどの難しい技法を使わなくても単純に倍加して、短時間でサイズを大きく作ることを制限されることは、私たちにとって非常に問題です。

     

    オリジナルカラーの消失

    また、固有のカラーを失うことも非常に問題です。例えば、先ほど取り上げた薄橙に関しても、メーカーによっては色が異なるからです。QualatexのブラッシュとSempertexのピーチブラッシュでは色合いが違い、日本人にとっての薄橙はQualatexの色合いに馴染みがあります。こちらの問題は、Sempertexから新たに発売された、パステルマットマリブピーチによって解消されつつありますが、現時点では在庫が非常に少ない状況となっています。また、少し濃いピンク色である”ローズ”や、やや濃い水色である”ロビンズエッグブルー”や、やや暗めのビビットピンクである”ワイルドベリー”、そしてちょうどいい濃さの茶色である”モカブラウン”を失うことは、高級な色合いを表現する上で大打撃となります。

    CBA(公認バルーンアーティスト)資格がなくなる?

    Qualatexは製作やビジネスに関する教育に力を入れていました。その中で、CBA(公認バルーンアーティスト)という資格とその教育プログラムを販売していましたが、Qualatexブランドが終了し、親会社が倒産することで、この資格の行方がどうなるのかを世界中のアーティストが心配しています。

    過去記事にも記載しましたが、CBAは新たにバルーンビジネスを始める人にとっては非常に魅力的かもしれませんし、過去にはとても価値があったように思えます。しかし、現在においてその内容は非常に古いものとなっていて、ビジネスに直結するアイディアが学べるかといえばそうではないと私は感じます。現在では多くの優れたバルーンスクールが開講されており、そこには大きな価値があります。そして、多くの一般の人々にとっての先生は無料で学べるYoutubeであることは間違い無いでしょう。

    その上で、CBAを取得するというのは世界No.1クオリティを誇るQualatexに公認してもらえるという「お金で買える肩書き」としての価値でした。そのQualatexが終了するということは、その価値を大きく失うことになります。今後、CBAが継続するかどうかも不明ですが、CBAを取得したけれども十分な実力のないアーティストは困惑し、大きな不安を抱えていると思います。

     

    ラテックスバルーン以外の製品の消失

    クオラテックスは、ゴム風船だけではなく、様々なバルーン関連のパーティ商品を販売しています。たとえば、ヘリウムガスを入れて浮かせるフィルムを使った風船がその代表的な例の一つです。

    100円均一や中国の格安製品などとは違い、バリア性能が高い(つまり気体が抜けにくく持続性がある)高品質なフィルムバルーンの一部が生産終了になる可能性が非常に高いということです。

    Qualatex製品は独特のデザインが多いので、そうした製品のファンは非常に悲しむことが予想されます。例えばユニコーンが流行った時に販売した「イッカク」のデザインは本当に独特で笑い転げました。

    その他、3ftサイズ、ジオドーナッツやブロッサムやアガットなどの独自製品の消失

    デコレーター(装飾専門)の方が何気に一番きついのは、”3ftサイズ”と”アガット”がなくなることではないでしょうか。3ftバルーンは他社メーカーにあまりないサイズです。これがなくなるのはアガット製品とはマーブル模様の風船です。これは、とても高価ですが、デコレーションに高級感と特別感を与える効果的なカラーです。たとえば、宇宙を表現する際は惑星のように使用されていました。

    また、穴の空いたジオドーナッツやブロッサムは独特な形をしています。膨らませ方にコツがあり、CBA試験の内容の一つでもあり、Qualatexブランドを代表する特別な製品でした。

    こうしたバルーンは、Qualatexの高い技術力を象徴するようなバルーンでしたが、高価で使い所が難しいため、一般の人には広く扱われることはありませんでした。だからこそ、プロのバルーンアーティストにとっては、他と差別化できる商品でもありました。こうした製品が失われることは、多くのアーティストにとって惜しまれることだと思います。

    世界大会(World Balloon Convention)の消失

    QualatexはWorld Balloon Convention(通称:WBC)という世界大会を2年に一度アメリカで開催していました。この大会もQualatex製造終了とともに終了となる可能性が高いです。というのも、こちらは全米大会と言われている「Twist & shout」とは違い、この大会はPioneer balloon companyが独自に主催しているものだからです。QBACと同じくQualatexの風船のみの使用が大会参加の条件となります。プロのバルーンアーティストであれば知らない人はいないこの大会は、世界各国からプロのバルーンアーティストが集まり、素晴らしい作品を披露していました。しかし、一般の人にはあまり知られていません。ちなみに、Twist & shoutの協賛からは既に外れていました。

    国内卸業者各社の動き

    風船の卸業者である、キッシーズ、宝興産、エミリーズバルーン、ナランハなどは、事前にこの情報を察知してさまざまな動きをしていたようです。キッシーズは「Sempertex」「GEMAR」「TUFTEX」などのバルーンを、エミリーズバルーンは「BELBAL」などをラインナップに追加して販売しています。この中で、一番衝撃を受けたのはQualatexをメイン商材とし、QBACやJBANや国内のCBAテストを運営していたエミリーズバルーンではないでしょうか。また、Qualatexが代理で販売していたTバルーンなどの輸出先などにも混乱が生じていそうです。世界No.1の製造メーカーが倒産したことは、多くの影響を与えています。

    在庫減少

    世界No.1シェアの会社の倒産およびバルーン事業からの撤退は、他の多くのバルーン業者にとって追い風となる一方で在庫状況に影響を与えそうです。これまで、多くの国内のプロアーティストは主に「Qualatex」または「Sempertex」のいずれかを在庫状況や用途に合わせて使い分けてきました。それの1つがなくなるということは、単純計算でSempertexの在庫を倍にしてもらわないといけないということです。そして、これは世界中のあらゆる国で同様の現象が予想されます。つまり、世界的にバルーンの在庫が不足する可能性が高いということです。今後、GEMARやTUFTEXやBELBALの品質工場やカラーラインナップの増加を期待したいところです。特にツイストバルーンは今の所GEMARに期待するしかないので、頑張って欲しいところです。(ただ、わかる人にはわかるGEMARのシワシワ現象は、メーカー的には今の所そういう仕様だと思って改善する気はないみたいです)

    まとめ

    というわけで、パイオニアーバルーンカンパニーの倒産からのQualatexブランドの製造終了は世界中のバルーンアーティストに大きな衝撃と問題を生み出しました。今後、風船の在庫状況が厳しくなることが予想されますので、皆様早めに対策&注文されることをお勧めいたします。

    ちなみに、私はこうなることをもうずっと前から予想していました。そして、前回のブログを書く少し前の段階で、私はほぼこうなることを確信する情報を持っていました。ただ、Qualatexのファンとして希望を失いたくありませんでしたし、影響力のある内容なので一部の周辺の人にしか話していませんでした。

    Qualatexはとても偉大なブランドで、仲間をとても大事にする企業でした、その一方で都合の悪い顧客からの意見に真摯に耳を傾けなかったことも事実です。少しでもそうした意見に耳を傾けてくれていたら違ったのかな・・・と残念に思います。

    バルーンアートを世界中に広めたQualatexを失うことは、とても辛く悲しいことで、とても大きな問題を生み出しましたがバルーンアートを世の中に残していくためにも、この悲しみを乗り越え、私自身も停滞せずに進化していきたいと思います。

     

    最後になりましたが、Qualatexを生み出し、世界中にバルーンアートで笑顔を届けるために素晴らしい製品を生み出してくれたQualatexに関わってきた全ての人々に感謝を。

    7/17 13:43追記

    元CEO の Dan Flynn氏より挨拶がありましたのでGoogle翻訳で翻訳した文章を転載します。

    ”こんにちは、みんな:第 11 章プロセスにおけるパイオニアの進捗状況に関する最新情報の掲載が遅れたことをお詫び申し上げます。これは非常に複雑なプロセスであり、非常に時間がかかり、予想よりもはるかに困難でした。プロセスは新たな段階に入り、2024 年 6 月 28 日にパイオニアの資産の実質的にすべてが優先担保債権者に売却されます。新しい買収会社が事業の将来計画について発表したと思います。
    私は長年にわたる友人、そしてビジネス仲間としてあなたに話しています。私はパイオニア バルーンの CEO ではなくなりました。このメッセージは個人的なコミュニケーションであり、会社のメッセージではありません。

    テッド・ヴラミスとベティ・ヴラミス、そして私は新会社とは関係ありませんが、当社の上級営業チームと営業チームの一部は新オーナーのもとで継続しています(テッド・Jとティム・ヴラミスは2023年末に退社しました)。その過程でより確定的な情報を提供できなかったことをお詫び申し上げます。しかし、法的要件により、言えることは限られていました。私たちのチームは、限られた能力の中で最善を尽くしてお客様にサービスを提供しようと努めました。義務を超えた努力をしてくれたチーム全員に感謝します。
    ここ数週間、パイオニア バルーン本社のチーム メンバーと連絡を取るのが難しくなった場合も、お詫び申し上げます。当社のスタッフは大幅に削減され、残ったスタッフは可能な限り最良の方法で市場にサービスを提供し続けるために複数の仕事を掛け持ちしていました。 Chapter 11 の組織再編中、パブリックコメントを行うことは困難または不可能でした。そのため、私たちや皆さんが望んでいたほど率直に情報を提供できなかったことをお詫び申し上げます。
    販売代理店、装飾業者、小売業者、さらには競合他社から受け取ったすべての支援メッセージに非常に感謝しています。心からの支援の表明は私たち全員にとって大きな意味がありました。一緒に楽しんだ素晴らしい経験をしてくれた皆さんに感謝します。 40 年以上勤務したパイオニアを離れるのは難しいですが、私たちは業界に提供した業績と積極的なリーダーシップを誇りに思っています。教育、開発、ビジョンを求めて当社に期待していた人々を失望させてしまったことを非常に残念に思っています。しかし、業界は回復力があり、より良い日々が待っています。
    皆さんに頑張ってください。たくさんの素晴らしい思い出と、The Very Best Balloons へのサポートに感謝します。未来があなたに大きな成功をもたらしますように。”

    (Facebook Qualatexページより引用)

    7/20 追記

    Qualatex Europa から、新しいアナウンスがありました。Qualatexは世界各地に製造を担うPioneer balloon company の子会社がありましたが、ヨーロッパでは、引き続きラテックスとホイルバルーン、バブルバルーンの製造を継続して行えるように模索している途中とのこと。まだ先にはなりそうですが、今後どうなるか、期待したいところです。

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